ヒーラーの「準拠枠」はゼロが理想
ヒーリングやスピリチュアルセッション、対話型カウンセリングに携わる者として、何より大切なのは「相手のパラダイム(ものの見方)」を尊重することです。
そのためには、自分自身の価値観や偏見、固定観念——つまり“準拠枠”をできる限りゼロにして、相手の話にまっさらな状態で向き合う姿勢が求められます。
けれども実際は、この「準拠枠のリセット」が絶望的なまでにできていないヒーラーも少なくありません。
自分の人生観を投影していませんか?
たとえば、ヒーラー自身の人生経験が乏しかったり、自分の金銭感覚や時間感覚を基準にしてしまっているとどうなるでしょうか?
- 給料の多寡や職業経験の有無
- 主婦としての生活優先の価値観
- 節約志向や堅実主義
- 富裕層ならではの感覚
こうした要素を無自覚にクライアントに投影し、その上で「アドバイス」と称して意見してしまう。これは非常に危うい行為です。
ヒーラーの役目は、自分の価値観を語ることではなく、相手の話に丁寧に耳を傾け、その世界観をありのまま受け止めることにあります。
スピリチュアル観の押しつけもNG
スピリチュアルな領域になると、さらに注意が必要です。
自分のスピリチュアル観を無意識に相手にも共有できている「つもり」になってはいないでしょうか?
よくあるケース①:「苦しみに耐えると霊性が高まる」
宗教的修行のような感覚でスピリチュアルを捉えているヒーラーが、クライアントの苦しみに対して「今が試練です。耐えれば霊的に成長できます」とアドバイスしてしまう。
しかし、クライアントは今すぐにでも心身の辛さをどうにかしたいと思っている場合が多い。「耐えるべき」という助言は、空回りするだけです。
よくあるケース②:「引き寄せで億万長者に!」
一方で、「スピリチュアル=現世利益」の図式を信じているヒーラーが、精神的充実を求めるクライアントに「難しいことを考えずに引き寄せで億万長者になればいいじゃない」と言ってしまう。
こちらもまた、相手の価値観を無視したアドバイスになってしまいます。
パラダイムの違いに無自覚であってはいけない
ヒーラーが自分の世界観に無自覚でいると、いつしかそれを「当たり前」としてクライアントに投げかけてしまいます。
これは、相手の悩みを本質的に理解しようとする姿勢から大きく逸脱してしまうものです。
「自分の価値観を正しいものとして押しつけていないか?」
「相手の話を、ちゃんと“その人のもの”として受け止めているか?」
これらを常に問い直す姿勢が、ヒーラーとしての在り方を磨く鍵になります。